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中古車ジャーナリストの雑文一式。

全国黄色いクルマ友の会構想

※2011年11月21日執筆

 

自動車愛好家というのは、自動車を愛好するのみならず「集うこと」も愛好するようで、休日ともなれば、同一車種の持ち主らが一堂に会する「オフ会」なる会合が、そこかしこで開催されている。

それはそれで文句をつける筋合いなどないのだが、……なんつー前置きをしてる時点で文句をつけたい気持ちバレバレかもしれないが、まぁ別に文句というわけではなく、自分は今から一つの意見を言おうかしらんと思う。

なんと言うかこう、「同一車種のオフ会」というのは、自分にはどうにもタコツボ的というかセクト主義というか「自由」じゃない感じがあって、ちょっとだけ嫌なのであります。ちょっちね。

詳しい意味はよく知らぬが、時代は今「フリー」であり「シェア」であり「フラット」であるというではないか。そんな中にあって「○○以外はお断り」という姿勢は、どうにも姿勢としていまひとつ美しくないというかオールドスタイルに過ぎるのではないかと、自分などは感じるのである(←個人の感想です。実際の効果には個人差があります)。

しかし自分も自動車愛好家の端くれである。「集うこと」が嫌いなわけでは決してない。ということで、何かこう美しい集い方はないものかと考えていた際、ヒントを与えてくれたのが、町で見かけた下写真のクルマだった。


あまり知られていないことながら、近頃、町に黄色いクルマが増えている……というのは明らかに事実誤認というか自分の気のせいで、自分が先ごろ黄色い初代SLKを買ったから、黄色いクルマがやけに目につくだけのことである。しかし気のせいは気のせいとして、黄色いクルマは世の中に結構数多く存在するのは確かだ。そして、「親の欲目」かもしれないが、黄色いクルマは、乗っている者も見ている者をも楽しい気分にさせる素晴らしいものであると、自分は考えるし、ほかの黄色いクルマにお乗りの諸兄もそう考えているのではないかと、愚考する。

だからこそ、いま行うべきは「黄色いクルマの大同団結」である。メーカーや車種などに基づくつまらないセクト主義は捨て、ただただ「黄色」という旗の下に、集うのだ。集いの名称は「全国黄色いクルマ友の会」だろうか。略称はさしあたって「YMO」でいいだろう(Yellow Motors Organization)。

それはおそらく、旧来のタコツボ的オフ会とは何もかもが異なる、新しくもフラットな集いになるはずだ。なにしろ下は三菱トッポBJから上はフェラーリF355までが、純粋に、並列に、集うのである(下とか上とか言ってる時点で、まだフラットではない昭和な自分だが)。愉快じゃないか。

参加者らは、その会で何を話すのだろうか。まだ自分にも未知数だが、それはおそらく以下のようなものになるに違いない。

トッポBJの人「黄色……ですよね、やっぱ……」
F355の人「……ですね。……でも、アレだけは……」
トッポBJの人「虫……?」
F355の人「はい。や、それでも……」
トッポBJの人「それでも、ですよね……」

白・黒・銀のクルマばかりがはびこる日本社会の中で、あえて黄色いクルマを選んだ勇者たちである。勇者に、多くの言葉などいらぬ。上記のごとき最低限のワード数で、心の内のあらかたは伝わることだろう。

前述のトッポBJおよびF355に加え、さまざまな黄色いクルマが会場を埋め尽くしている。一番多いのはやはりフィットで、アテンザワゴンもそこそこの数が集まった。初代SLKは少数ながらも存在感を示し、ちょっと旧いランエボやK11マーチも怪気炎を上げている。BMW製ミニが多数来ていることは言うまでもない。遠く会場入り口のほうで何やらモメているので、駆けつけてみると、タクシー運転手さんの団体が「俺たちも入れろ!」とデモっている。ここはどう判断すべきか。主催者として迷うところだ。

特に何をする会ではなく、ただただ「黄色いクルマであること」の素晴らしさを互いに堪能しあうだけなのだが、いちおう「主催者あいさつ」的なものもやるべきなのだろう。自分が代表としてあいさつしても構わないっちゃ構わないが、自分は代表という柄ではないし、そもそも器でもない。代表ないしは名誉会長のような役職は、もっとカリスマ性のある人物にお願いすべきだろう。

ということで主催者あいさつは、「全国黄色いクルマ友の会(YMO)」名誉会長として、ぜひ林家木久扇師匠にお願いしたいと自分は考えている。