輸入中古車400勝

中古車ジャーナリストの雑文一式。

NAロードスター敗れたり……!?

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小生は新しく車を買った後に必ずやるテストがひとつある。まあ「新しく買った」といっても常に中古車ではあるのだが、それはさておき、「その車が、自分が住まう東京という町の風景の中でどう見えるか?」ということを確認してみるのだ。

 

自分は福野礼一郎さんという自動車ライターさんを大変尊敬申し上げているが、福野先生とは畏れ多くも一つ大きく意見を異にする部分がある。

 

原典をあたらず記憶で書いているので失礼ながら正確な文言ではないが、以前どこかの媒体で福野さんは「車の写真に“背景”は不要。わたしは“車”が見たいのだから、スタジオの白ホリで撮った図鑑的な写真が(わたしにとっては)いちばんだ」というような意味のことをおっしゃっていた。

 

……小生は逆に「図鑑的な車写真」には興味がないというか、そもそも車という機械単体には(ほかの一般的な自動車ライター諸氏や自動車マニア諸兄ほどには)興味がない。あくまでも「自分がいて、町があって、大げさにいえば地球があって、そこには自分以外にも多くの人が暮らしていて、そんなこんなの風景や時代や意識のなかで、その車はどう見えるか? そしてどう感じられるか?」というところにしか根本的な興味はないのだ。

 

そういった意味で小生は、たぶんいわゆる自動車マニアではないのだろう。いや好きは好きなんですけどね、その「好き方」がちょっと違うといいますか。

 

 

 

エニウェイそう考えているため、車を買うとまずはいろいろな風景のなかへ連れだし、「そのなかでどう見えるか?」ということを確認してみるのである。で、たいていの場合は大勝利をおさめる。「うむ、俺の見立てはやっぱり間違ってなかった。この車はやっぱりどの風景のなかで見てもウルトラ素敵だぜ」という結果になるのだ。

 

で、とりあえず本日。飯倉片町のLe Garageさんにロードスター用のキーホルダーを買いに行ったついでに、わたくしとNAロードスターは六本木界隈のさまざまな風景に対して勝負を挑んだ……のだが。

 

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これがなかなか大苦戦したのであった。写真上は六本木ヒルズのいわゆるけやき坂界隈だが、なんつーかこう、どうにも締まらない。わたくしとしては「NAロードスターによる打倒英国旧車なんて楽勝だろう! 東京の町並みのなかでもウルトラ最高レベルの存在感を発揮すること間違いなしだぜ!」と思っていたのだが、写真上は大変率直に申し上げて「なんか国産車が路駐してる」という茫漠とした光景にしか見えないのだ。決して悪くはないのだが、良くもないのである。……おっかしいなぁ。

 

 

まぁわたくしの写真が下手なだけかもしれないので、場所を変えてみよう。

 

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……南麻布のドイツ大使館横だが、これまた写真のみを冷静かつ客観的に眺めると「あぁ、なんか国産車が止まってんな。邪魔だな」という感慨しか湧いてこない。……やはりNAはリトラクタブルヘッドライトを上げないといまいち絵にならないのだろうか? や、たぶんそうだ。うん、絶対にそうだ。つーことでヘッドライトをパカッと上げてみよう。

 

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……そういう問題でもないのかもしれない。

 

斜め前からだとといまいちパッとしないのかな? じゃあ斜め後ろからでどうだ。

 

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……悪くはないが、「悪くはない」のレベルは超えていない気もする。参考までに、数年前にまったく同じ場所、ほぼ同じアングルでで撮影した初代SLKの写真がコレだ。

 

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……ううむ。感じ方は人それぞれだろうが、わたくしとしてはこっちのほうがイケているというか、少なくとも「映える感じ」「金持ちっぽい感じ」ではあると思う。NAロードスターだと、なんとなくだが「童貞の走り屋が乗ってる車」みたいなイメージもなくはないのだ。

 

……ボディカラーのせいだろうか? このホワイトというボディ色が、なんとなく走り屋感というか童貞感を醸しだしてしまうのか? ……やはりブリティッシュ・レーシング・グリーンまたはそれに準ずる何かシブい色に全塗装しない限り「打倒英国旧車」は成らないのだろうか。しかしオールペンするっつーと安くても40万~50万円はかかりますからねえ。ううむ……。

 

でもまあ良しです。打倒英国旧車の道はロング・アンド・ワインディングロードであることがわかったわけですが、そのほうがやりがいがあるってものですわ。「買いました。最高でした。打倒しました。もう何もやることがありません」じゃ自分としてもつまんないですからね。NAロードスターの強固な「童貞感」をなんとかして抑え、愛すべき英国旧車さんたちに一撃を加える術を長期的に探ってゆく所存です。押忍。