輸入中古車400勝

中古車ジャーナリストの雑文一式。

もげる輸入車、折れる輸入車

※2012年6月25日執筆

 

「東京法務局へ書類を取りに行く」という地味すぎる初陣を飾ったのち、「笹塚の音楽練習スタジオに行く」「狭山市に住まう老義母を見舞いに行く」などの地味な各種ミッションをこなしながら、94年式デルタEVOⅡの軍曹による走行距離はようやく100kmを超えた。そろそろこの機体の感覚にも慣れつつあるため、天気と相談のうえではあるが、近日中には筑波山あたりで「初の(軍曹なりの)マキシマムアタック」を敢行してみる所存である。


それはさておき、デルタHFインテグラーレはある種の「特殊車両」であるゆえ、納車時はコレツィオーネ成瀬社長殿より何点かのコクピットドリル的レクチャーを受けた。今回のエントリはそれについてさくっとご紹介してみよう。

まずウインカーである。下写真を見てのとおりいかにも華奢である。そのため自分は成瀬社長殿に「アハハ、なんかこれ、折れそうですね、あはは」などと、まさか折れるわけはないと思ったがゆえ軽薄に笑いながら言ったが、成瀬殿は真顔で答える。「いや乱暴に扱うと本当に折れますので、どうぞご注意ください」と。

……自分も輸入中古車道の猛者であると自負している。それゆえ、さまざまな部品が「もげる」ことに関しては覚悟しているし、またその経験もある。古い輸入車は、とにかくもげるのだ。しかし、何かが「折れた」という経験は幸いにしてというかなんというか、これまでない。そうかデルタは折れるのか。うむ、そうか……。


続いてはフロントウインドウである。自分は軟弱ゆえエアコンも好きだが、暑さ寒さが大したことのないシーズンにおいてはウインドウを全開にし、腕を外に出す形でのんびり風を感じながら運転することを好む。が、成瀬社長殿はそれもイカンとおっしゃる。

「窓は必ず、か・な・ら・ず、一番下までは降ろさず、途中で止めるようにしてください」

 

はて、なぜ?

 

「ウインドウが落ちます」


……窓枠のようなものからウインドウが落ちてしまうわけですな。……自分も前述のとおり猛者であるゆえ、たとえばE46型BMW3シリーズは数万kmの時点でウインドウレギュレーターが逝くケースが多い等々は知っている。が、窓を全開にしただけでそれが故障するクルマというのは、寡聞にして知らない。……デルタよ、なかなかやるじゃないか。そうじゃなきゃ面白くないぜベラボーめ!(※まぁちょっと大げさに書いてます。全開にしたら必ず壊れるわけじゃなくて、『壊れることもある』というのが成瀬さんのご説明でした。本当は)



その他、「リアハッチを閉めるときは必ず黒いビラビラを奥に押し込んでから閉めること。でないと雨漏りします」「エンジンをかけるときは、インジェクションのチェックランプが消えてからスターターを回すこと。でないと爆発します(←後半は嘘です)」「エンジンを切るときは、エアコンのスイッチをOFFって(コンプレッサーをオフにして)、かつ風量をゼロにしてからOFFってください。さもないと呪われます(←後半は嘘)」等々のレクチャーを受けた。


画面中央やや左の黒いビラビラを奥側に押し込んでからハッチを閉めます。


キーをONにすると、インジェクターの絵が描かれたチェックランプが2~3秒ほど点灯します。で、それが消えてからエンジンスターターを回します。


エアコンのコンプレッサーをOFFって、そして風量もゼロにしてからエンジンをOFFります。

これらのうちいくつかはたまに忘れてしまうこともあるのだが、今のところは爆発もせず、そして呪われもせず、元気に走れている。昨日の日中は結構暑かったが、エアコンもなんとか効いていた。思いのほか順調な毎日である。楽勝である。

……と、こうした過信から、その後の伊達の「地獄」が始まったのであった。

……ってなんすかこの(↑)勝手なナレーション挿入! まだ始まってないすから、地獄! 未来のことはわかりませんが、現状は極楽ですよ極楽! 敬礼!!!!!