輸入中古車400勝

中古車ジャーナリストの雑文一式。

ミニ クロスオーバー問題

※2012年5月11日執筆

 

全然ミニサイズじゃないMINIである「MINI Crossover」。それについて自分はこれまで「意味わかんない」「乗っても大して良くないし」等々さんざん否定的なことを言っていた。しかし本日取材に赴いた某県某市のMINI正規ディーラーによると、Crossoverは新車も認定中古車も大層売れていて、その拠点が売るMINIの約半数は今、Crossoverなのだとう。


それを聞き、自分は向後MINI Crossoverのことを悪く言うのはよそうと決意した。

売れてるモノ=長い物に巻かれてみよう! と黒い決意をしたわけではない。新車メディアの仕事はほとんどしていない異端のヒョウロンカである自分が今さら巻かれたところで、誰にとっても大した得はない。そうではなく、MINI Crossoverが売れている「理由」を聞き及んだことが、その原因である。

言われてみれば当たり前の話だが、後部ドアがなく乗車定員も4名である通常のMINIハッチバックと比べ、Crossoverはドアが4枚あり、乗車定員を5名とすることも可能だ。そして「そこ」がユーザーに評価されている結果として、売れているのである。

衝撃的な話だった。こんなことを言うと嗤われるのだろうが、自分はこれまでクルマに関してその手のことを一切検討したことがなく、やれデザインがどうの、走りがこうの、思想がかんの、などとばかり言っていた。それはそれで別に間違っているとは思わぬし、MINI Crossoverがいわゆる「いいクルマ」だとは今も個人的には思わない。

しかしだからと言って頭ごなしに、人様のライフっつーんですか? 生活? 人生? 伴侶を得て子を作り育て、笑ったり泣いたり喧嘩したりずっこけたりしながら生きていく日々を、そしてそんな日々をアシストするツールとしてのMINI Crossoverを、否定したり馬鹿にできる権利がわたしにあろうはずがない。だから、もう言わぬのだ。いや、逆に言おう。「(ある種の人にとっては)MINI Crossover最高っ!」と。

自分はハードウェアやウンチクにとらわれ過ぎている既存の自動車ヒョウロンをつまらんと思い、それに対するある種のアンチテーゼを行うことで「うむ、やはり俺は自由なココロを持っているなぁ」などと自惚れていた。しかし全然そんなことはなかったのだ。わたしもまた、既存の自動車ヒョウロンがとらわれているものとはまた別ジャンルの何かに、大いにとらわれていたのだ。

某県某市のMINI正規ディーラーに行って、本当に良かった。今日はたいそう学問した。