輸入中古車400勝

中古車ジャーナリストの雑文一式。

SLK購入始末記・最終総括!

※2011年11月17日執筆

 

継続的に読んでいただいている方にとっては繰り返しになってしまい大変恐縮だが、今回購入した98年式SLKに関する事実関係を、最初にサマっておきたい。


●車両:98年式M・ベンツSLK230コンプレッサー
●スペック:走行5.3万km/ワンオーナー/禁煙車/フルノーマル/検25年5月
●車両価格:73万円(支払総額94万円←関西からの納車費用6万円を含む)
●前車(シトロエン2CV)売却額:30万円
●つまり:94万-30万円=64万円にて購入

●購入の経緯:中古車検索サイトで見つけた一台を、現物を見ることなく、いわゆる「通販」的に購入

●納車後の伊達所見:内装・外装ともに美車。ステアリングに時おりジャダーが出るほかは、大きな問題はないように思われる

●納車後の専門メカニック氏所見:
・内外装問題なし。バリオルーフの動きも良好
・下回りにサビなし
・電子制御5速ATに問題なし
・ロアアームブッシュにヒビあり
・フロントハブにガタあり
・燃料ポンプ&フィルターは要交換
・その他小部品いくつかは要交換
・全体的に、「中古ベンツ」としては非常に良好である
●上記要整備箇所の整備費用:約20万円

●つまり:64万円+20万円=84万円にて実戦配備完了

……である。で、上記の結果を最終的に自分はどうとらえたか?

大勝利であった。

いや無論、先のエントリで記したとおり「大勝利っつーか、客観的に見て『辛勝』じゃね?」という部分も多々あったのは事実だ。それについては今後、伊達心眼流撰術をよりブラッシュアップっつーんですか? 今風に言うと? それをするための糧としていきたいと考えている。

それを踏まえても、やはり大勝利であった。

そして自分は、いったい何に対して勝利したのか。それをここで整理しよう。


わたしが戦った相手とは、実は以下の二つであった。

一つは、自身が唱えていた「クルマっつーのは100万円そこそこからの輸入中古車買うのが一番でげすよ。や、それ以上のモノを買う旦那衆を止めようってわけじゃござんせんが、アタシのようなド町人のクルマ好き、ってえんですか? それにとっちゃあ100万円くらいの中古ガイシャが、色んな意味でしっくりくると思うわけで」という意見そのものの、信憑性である。

もう一つは、世間一般で広く言われている「中古の輸入車なんて買うもんじゃないっていうか。新車買わないヤツは馬鹿でビンボーっつーか。せめて認定中古車買えよ猿っていうか、町場の中古車屋で中古ガイシャ買うヤツは絶対に地獄見ますよね」というある一つの見識の、信憑性だ。

無論、わたしは前者については「応!」と考え、後者に関しては「否!」と思っているわけだが、思うだけなら猿にもできるわけで(……できるのか?)、自分は行動によって、それらを検証せんと考えた次第だ。

その際に敢えて『伊達心眼流撰術のストレステスト』などと称し、見ず知らずの店から現物を見ずに購入した理由は、なんつーんでしょうか、アタシは関東エリアのめぼしい輸入中古車屋さんについちゃ「勝手口から入っていく取材者」として、裏の表情みたいなのを、ある程度知ってるんですね。あくまで「ある程度」ですが。となると、勝手口から見て「うん、ここんちは本当に素晴らしい店じゃぁねえか!」と思う店からしか普段は中古車を買わないわけで、それはブツのコンディションが良くて当たり前なわけで、さらに言えば「反則」にも近いわけで。

そういった「反則」を前提に何かの実験を行っても、それは無意味であると考えたゆえ、今回自分は「敢えての見ずテン購入」をしてみたのだ。

で、その結果はどうであったか。

ここまで繰り返し述べてきたとおり、実質予算わずか84万円にて、存在的にも機械コンディション的にも、とってもステキなクーペ・カブリオレを手に入れることができた。第一の〈敵〉である「100万円そこそこの中古ガイシャは素晴らしい!」という自身の意見に、不肖わたしはこれまで以上に自信がもてるようになった。

「はっ。型遅れのメルセデスでナニ気取ってやんでぇ」とおっしゃる方もいるかもしれない。しかし自分は気取ってなどおらぬ。初代SLKの、特にイエローストーンの個体は、今の目線で見るとちょっとクラシカルっつーか古ぼけている点こそが魅力なのだと、自分はとらえている。だからしてエラソーな感じで乗るつもりなど毛頭なく、ていうかそれって滑稽でしょとしか思わず、「ズックの踵を踏んづけて散歩に行く」ようなニュアンスで、今後このSLKと付き合っていきたいと考えている。


第二の〈敵〉、すなわち「町場の中古ガイシャなんてロクなもんじゃねえ」という意見も、今回の実験で完全に否定できたものと考える。しかし無論、そういった意見はあながち完全な間違いではない。中には本当にロクでもない輸入中古車や、ロクでもない町のショップがあることを、わたしは否定しようとは思わない。言いたいのは、『カーセンサー』等に書かれている正当派な中古車選択術と、わたしのような異端の選択術とを組み合わせて事に臨めば、町場のショップでステキな一台を選ぶことは十分可能なのだ、ということだ。

「専門家の点検を受けたっつっても、まだ納車直後じゃねえか。今後、あちこちからボロが出てきて地獄見んじゃねえの?」という見方もあるかもしれない。それには一理あるし、未来を完全に見通すことなどわたしにはできない。っつーか誰にもできない。

未来を見通すことなどできぬが、「予測」するには、過去に学ぶのが一番だ。ちょうど1年前、2011年11月に納車となった99年式アルファロメオ アルファGTV 3.0 V6 24Vがこの1年、どうであったかを知ることが、未来を予測するうえでの何らかの足しになるだろう。

 

「ブチ壊れまくる」「維持費が大変」「絶対後悔する」などとも言われる中古アルファロメオで1年間、約8000km走ったことでかかった維持費とは、下記のとおりであった。

●エンジンオイル交換×2回=約3万円
●サーモスタット交換=約2万5000円
以上。

ということで、総括を終える。お忙しいなか長い文章をお読みいただき痛み入る。

伊達軍曹拝