「言い訳くさい店」に近寄るな(前編)
※2011年6月1日執筆
こんばんは、伊達心眼流選術開基の@SGT_Dateです。
伊達心眼流選術とは、ひとことで言えば「購入を検討している品質不詳な物品等のクオリティを、購入する前に知る技術」ということになります。
輸入中古車研究家としての立場から、ここでは主に「中古車や中古車店のクオリティを、試乗せずして知る技術」として紹介していますが、本来はそれだけでなく、「これまで入ったことのない飲食店の味とサービス」「読んだことのない著者による出版物の品質」「被面接者が我が社(またはウチの部署)で使いモノになるか」「数匹の捨て猫の中から1匹だけを引き取る際の“当たり猫”と“ハズれ猫”」等々、さまざまな局面において対象のクオリティを“事前に”知ることが可能になる技術です。最後の例は嘘です。
例えばこの(↓)看板。伊達心眼流の使い手であれば、これを見ただけで即座に「あ、この店では美味いモノなど食えぬな」と判断できます。
※筆者注:もともとのブログではココに某飲食店の「がんばって仕込中」という立て札の写真がありました。
この看板というか立札というか、何と呼ぶのか知りませんがとにかくコレ(↑)の、何がいけないのか? 伊達心眼流選術有段者による解説を聞いてみましょう。というか解説=オレ、インタビュアー=オレなんですけど。俺は小沢健二かっつーの!!! ……独り言です。忘れてください。
-------------------------------------------------------------------------------------
「まず第一に着目すべきは“がんばって”という文言ですね。がんばって仕込み中。たしかに今この瞬間、厨房では頑張って仕込んでいるのでしょう。いやもしかしたら全然頑張らないでレトルト食材の棚卸しとかしてるかもしれませんが、まぁ頑張ってるんだとして考えましょう」
――頑張ってる、と。じゃ、それでいいじゃないですか?
「本当にそう思いますか? じゃ、あなたに逆に聞いてみましょう。あなたも仕事なり何かなりに頑張っておられるとは思いますが、どうですか?」
――まぁ……自慢するほどじゃありませんが、それなりに頑張ってますよ、何かと。
「そうでしょうね。私はあなたのことをまったく存じ上げませんが、おそらくはその言葉に嘘はないと簡単に判断できます」
――伊達心眼流……とやらを使ってですか?
「違います。世の中、たいていの人は頑張っているのだから、世の中の一人であるあなたもたいていの確率で頑張ってる人だと断言できる、というだけのことです」
――……一つひとつの話はわかりますが、要点をおっしゃっていただけませんかね?
「“そんなのわざわざ人に言うことじゃねえだろ”ってことですよ。あなた、追い込みかかってる仕事で頑張ってるとき、わざわざYシャツの背中に“がんばってエクセル作成中”とか書いて貼ります? ERのドクターが“がんばって心マ中”とかドアに貼っときますか? 貼らないでしょ? そんなこたぁ人に言うことじゃないんですよ。当たり前なんだから。
頑張ろうが頑張るまいが、男は、というか職業人は、“結果”がすべてですよ。美味いモン作れたかどうか。説得力のある資料作れたかどうか。死にそうな患者、蘇生させられたかどうか。そこだけが問われるンです。
それなのに“がんばって仕込み中”って……鶴ちゃんみたいなありがち書体で、言い訳くさい文言を、恥ずかしげもなく往来に掲げるそのセンスといいますか感受性。そういった感覚をもつ店主が全体をマネージする飲食店で、美味いモノが生まれるはずがない。仮に美味かったとしても、我慢のならぬほどの何らかの欠落が、その店にはある。……と整理していくのが、伊達心眼流のまずは初歩です」
――……なんか「思い込み」と「決めつけ」にすぎないんじゃない?って気もしますが、まぁ、わかったとしときましょう。で、このサイトの主たる趣旨である輸入中古車に関してはどうなんですか? 「中古車店の選び方」に今の考え方を応用した場合の“奥義”とやらを教えていただきたいんですが?
「ちょっと長くなっちゃったんで、また明日あたりに」
――明日、ですか。
「はい」